1. どちらも「心の不調」を扱う医療です
「最近眠れない」「食欲がない」「気分が落ち込む」――
こうした“心と体の両方の不調”を診るのが、心療内科や精神科です。
違いは、どこに焦点を当てて診るか にあります。
2. 心療内科と精神科のちがい
心療内科 | 精神科 | |
---|---|---|
出発点(アプローチ) | 「ストレスや心の問題が体に影響している」 | 「心や脳の働きそのものが不調を起こしている」 |
症状の中心 | 胃痛・頭痛・息苦しさ・動悸・不眠など体の症状が中心 | 気分の落ち込み・不安・幻覚・意欲の低下など心の症状が中心 |
診断の方向性 | 検査で異常がない“体の不調”の原因を心の側から探る | 感情・思考・行動の変化を精神医学的に診断する |
治療の内容 | ストレスケア・生活改善・心理療法+必要に応じて薬 | 薬物療法+カウンセリング・社会的サポート |
うつ病の対応 | 軽度〜中等度(ストレスや疲労が原因のうつ状態) | 中等度〜重度(脳や神経伝達の変化によるうつ病) |
こんなときに | 体の不調が続き、ストレスが関係していそうなとき | 気分が落ち込む・幻聴がある・感情の波が激しいとき |
3. 「うつ」はどちらでも診てもらえます
最近では、心療内科でも精神科でもうつ病の診断・治療が行われています。
違いは「どのような経過でうつ状態になったか」。
- ストレスや疲れから体調を崩し、気分が沈むようになった → 心療内科向き
- 気分の落ち込みや意欲の低下が長く続き、生活に支障が出ている → 精神科向き
💡 どちらに行けばいいか迷ったら
「体の不調から相談したいときは心療内科」
「気分や考え方の変化がつらいときは精神科」
という目安で構いません。
4. 両者の連携がとても大切です
実際の診療では、心療内科と精神科が協力して支えるケースも多くあります。
- 心療内科で治療を始め、症状が強くなったら精神科を紹介
- 精神科で治療中に、体の症状が出た場合は心療内科がフォロー
つまり、どちらか一方だけではなく、「心」と「体」を行き来しながら回復していく ことが多いのです。
5. ご本人・ご家族へのメッセージ
🌿 体のサインを見逃さないで
心のつかれは、まず体にあらわれることがあります。
「最近眠れない」「胃が痛い」「食欲がない」などの変化は、心のSOSかもしれません。
💬 話してみることが第一歩
「こんなことを相談していいのかな?」と思うようなことでも大丈夫です。
医師や看護師は、“今感じていること”を一緒に整理しながら考えてくれます。
🫶 家族の方へ
「がんばって」「しっかりして」ではなく、
「つらかったね」「無理しないでね」と受け止める姿勢が、回復の力になります。
6. 訪問看護・訪問介護でもできる支援
- 体調・睡眠・食欲のチェック
- 薬の管理や医師との連携
- 気分の波を見守りながら、安心できる生活を支援
私たちは、心と体の両面から“その人らしい生活”を支える 医療・福祉のチームです。
💬 最後に
「心の不調も、体の不調も、同じ“あなたのサイン”。
どちらの入り口からでも、回復の道は必ず見つかります。」