超高齢社会を迎えた日本では、病院から“家で過ごす”療養スタイルへと大きく流れが変わりつつあります。
その中心にあるのが「訪問看護」。
医師と連携し、看護師がご利用者のご自宅を訪問して行う医療的なケアは、安心して暮らし続けるために欠かせない存在です。
そこに今、「AI(人工知能)」という新しい仲間が加わりつつあります。

◆ AIが支える“質の高い医療ケア”

訪問看護では、日々の体調チェック、薬の管理、褥瘡や創傷の処置、在宅酸素療法、終末期の看取り支援など、幅広い業務が求められます。
AIは、こうした“複雑かつ専門的”なケアを支援するさまざまなシーンで活用されています。

具体例を挙げると…

  • バイタルデータの予測分析
    → 血圧や心拍数、SpO₂のデータをAIが継続的に分析し、状態悪化の兆候を早期にキャッチ。
  • 訪問記録の自動入力/音声記録補助
    → 看護師が移動中にスマホやタブレットで音声入力し、AIが記録文に整形。
  • 褥瘡の画像診断サポート
    → 傷の画像をAIが読み取り、状態の分類や悪化リスクの予測を支援。
  • 服薬アドヒアランスのモニタリング
    → ご利用者が薬をきちんと服用しているか、センサーやAIでチェック。

こうした技術により、訪問看護師がより“専門性”に集中できる環境が整いつつあります。

◆ AIがいても「人のぬくもり」は消えない

訪問看護の本質は、「人と人の関係性」です。
ときにはご利用者の孤独や不安に寄り添い、話を聞くだけの日もある。
その「そばにいる看護」が、AIに置き換わることはありません。

でも、AIがあることで、もっと丁寧に、もっと長く関われるようになる。
例えば、重症化を防げれば、無理な救急搬送も入院も避けられる。
ご本人も家族も、安心して「家にいられる時間」を守れるのです。

◆ 訪問看護×AI=“持続可能なケア”への一歩

高齢化が進み、医療資源が限られる中で、訪問看護にかかる期待は高まるばかりです。
AIはその中で、“人の力を最大限に活かす”パートナー。
決して人を減らすのではなく、“人が必要なところ”に力を集中させるための存在です。

これからの訪問看護は、「人とAIが共にいるケア」へと進化していくでしょう。
それは、“効率”だけでなく、“ぬくもり”も支える未来です。