1. 気持ちを伝えるのが難しいのは自然なこと

介護や看護の場面では、
「言うと相手を傷つけそう」
「わがままだと思われたくない」
と感じて、気持ちを飲み込んでしまうことがあります。

心理学では、人は近い関係ほど本音を伝えにくい ことが知られています。
伝えづらさは、思いやりの裏返しでもあります。

2. 伝えられないままだと起こりやすいこと

気持ちを我慢し続けると、次のような変化が起こりやすいとされています。

  • イライラがたまりやすくなる
  • ある時に強い言い方になってしまう
  • 疲れやすくなる
  • 相手との距離がぎくしゃくする

これは性格の問題ではなく、気持ちが行き場を失っているサイン です。

3. 伝える目的は「分かってもらうこと」

自分の気持ちを伝えることは、相手を変えるためではありません。

心理学では、
「自分はこう感じている」と共有すること自体が、関係を安定させやすい
とされています。

4. 伝えやすくなる“3つのコツ”

① 事実と気持ちを分けて話す

まず「何が起きたか(事実)」、次に「どう感じたか(気持ち)」を伝えます。

例:「夜に何度も起きた(事実)ので、少し疲れています(気持ち)」

責める言い方になりにくく、受け取られやすくなります。

② 「あなた」ではなく「わたし」を主語にする

心理学では、Iメッセージ(わたしメッセージ) が有効とされています。

  • ×「あなたが○○するから」
  • ○「わたしは○○だと感じています」

主語を変えるだけで、対立が起こりにくくなります。

③ 短く・具体的に伝える

長い説明よりも、
短く・具体的な言葉 の方が伝わりやすいことが分かっています。

例:
「今は少し休みたいです」
「今日はこのくらいで大丈夫です」

5. すべてを伝えなくても大丈夫

気持ちは、

  • すべて言わなくていい
  • 一度に言わなくていい
  • 完璧に言えなくていい

心理学では、小さな表現の積み重ねが関係を安定させる と考えられています。


6. 伝えたあとは「相手の反応に責任を持ちすぎない」

自分の気持ちを伝えたあと、
相手がどう感じるか・どう反応するかは、相手の領域です。

これは、心の境界線(バウンダリー) の考え方でもあります。
伝えること自体が大切で、結果をすべて背負う必要はありません。

「伝えることは、わがままではなく、自分を大切にする行動です。」


7. まとめ

自分の気持ちを伝えるコツは、上手に話すことではありません。

  • 事実と気持ちを分ける
  • 「わたし」を主語にする
  • 短く伝える

この3つを意識するだけで、関係は穏やかになりやすくなります。

💬 このコラムは一般的な健康情報として作成しています。
気持ちを伝えることがつらい、強い不安や緊張が続く場合は、
医師・看護師・ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。