それは間食や喫煙かもしれませんし、無理な生活リズムや人間関係かもしれません。
どのような対象であれ、何かを「やめたい」と思う気持ちは、その人の中から自然に湧いてきた“変わりたい”という意志の芽です。
まず訪問介護、訪問看護の職員として大切にしたいのは、「何かをスル」「シナイ」と決めるのは、他人から言われたからではなく、“自分との約束”であるということ。
そしてその約束を守れるようになるには、単なる意志の力だけではなく行動と誠意を積み重ねることが必要です。
自分と向き合うことを支える
辞められない人の多くは、「辞めたいと思っていない」のではなく、「辞めたいと思っているけれど、その方法がわからない」「辞めることに不安がある」のです。
だからこそ、まずは“自分との対話”を支援する必要があります。
「どうしてそれを辞めたいのか?」
「なぜ今まで辞められなかった活が待っているのか?」
このような問いかけを一緒に深めていくことで、本人が自分の中にある“理由”や“動機”に気づき、前に進む力が生まれます。
辞めることは「やらないこと」ではない
よく誤解されがちですが、「辞めること」はただの“中止”ではありません。
実はそれは「何かを行う」ことと本質的には同じ。辞めるにも意思と努力が必要です。
つまり、「辞める」というのも「行う」というのも、どちらも“成し遂げる”という点では共通しており、そこには行動と誠意が必要です。
例えば、長年の喫煙をやめることは、新しい習慣を始めるのと同じくらいエネルギーが必要です。
本人にとっては「人生の一部を変える」大きな挑戦なのです。
支援者にできる5つの実践ステップ
以下のような段階的な関わりが効果的です:
- 受け止める:「辞めたい」という言葉の裏にある感情や理由に耳を傾ける
- 一緒に振り返る:「なぜ辞めたいのか?」「なぜ続けてしまうのか?」を本人と丁寧に話し合う
- 代替案を考える:辞めることによる“空白”を埋める新しい楽しみや安心を提案する辞めたい
- 小さな一歩を支援する:「週に1回控える」など、成功体験を積みやすい目標設定
- 続けて関わる:環境を整え、変化を見守り、再チャレンジを肯定する姿勢を持ち続ける
おわりに
辞めることは、消極的な行為ではありません。
それは自分を見つめ、意思を持ち、新たな生き方を選び取る“能動的な決断”です。
私たち訪問介護、訪問看護の職員は、その決断を見守り、支え、共に進む伴走者でありたい。
「辞めたい」とつぶやいたその一言から、支援は始まっています。