訪問看護は、ただ「医療ケアを提供する場」ではなく、利用者さんの生活とこころに寄り添う場所でもあります。とくに精神的なケアや、人生の最期を支える場面では、「こころの寄り添い」がその人のQOL(生活の質)を大きく左右します。
訪問看護での「こころの寄り添い方」ポイント
① 「話を聴く」ではなく「聴き切る」
- 利用者さんの言葉をただ聞くだけでなく、その思いや背景まで想像して受けとめる姿勢。
- 「それは辛かったですね」「よくここまで頑張られましたね」といった共感的な声かけが信頼を育てます。
- 沈黙の時間も大事に。無理に話させる必要はないです。
② 「その人らしさ」を尊重する
- 好きなことや大事にしてきた価値観、生き方を否定せずに受け入れる。
- その人の小さな習慣を守れるようサポートする。
- その人が“人として”どう生きたいかを見つめる姿勢が「こころの寄り添い」に。
③ 怖さ・不安・孤独を見逃さない
- 言葉にされない「不安」や「寂しさ」を表情や声のトーン、目線、行動から感じ取る。
- 特に終末期や認知症や精神疾患の方は、「気持ちが言葉にならない」ことも多いです。
- 「今日は少し元気がないように見えますね」など、やさしく問いかけて心を開けるきっかけに。
④ 寄り添いすぎず、でも離れすぎず
- 看護師も「全部を抱え込む」のではなく、距離感をうまくとることが重要。
- 「共感」はしても「同情」にはならないように。専門職として冷静さを持ちつつ、あたたかく接する。
⑤ ご家族にも寄り添う
- 利用者さんのご家族も、介護や看取りに対して不安や罪悪感を抱えていることがあります。
- 「それで大丈夫ですよ」「よくやっておられますよ」と安心を届けることも、訪問看護の大事な役割。
最後に:看護師自身のケアも大切
「こころに寄り添う」って、実はすごくエネルギーがいること。
だからこそ、自分の気持ちも大事にしてくださいね。
- つらくなったらチーム内で共有
- 感情を言葉にして整理する
- 自分を責めすぎない