1. 確証バイアスとは何か

確証バイアス(confirmation bias)とは、自分が信じていること・期待していることを支持する情報を優先的に集めたり記憶したりし、反対する情報を無視・軽視する心理的傾向のことです。
人は完全に客観的な情報処理を行うことが難しく、脳は「自分の信念に合致する情報」を好みます。
これは脳のエネルギー節約機能とも言われ、判断のスピードを上げる一方で、間違った方向に突き進むリスクもあります。

2-1. なぜ起こるのか ― 心理的背景

確証バイアスが起こる理由はいくつかあります。

  • 認知の安定欲求:自分の考えや価値観が間違っていると感じることはストレスになるため、それを避けようとする。
  • 感情の影響:信じたいことほど安心感を与えるため、その情報を優先して選ぶ。
  • 情報処理の効率化:膨大な情報から必要なものを素早く選び出すために、既存の信念を基準にフィルタリングしてしまう。

2-2. なぜ起こるのか ― 現場的背景

訪問業務は限られた時間で判断と行動を求められます。
そのため、過去の経験や先入観を頼りにした「即断」が多くなります。

  • 安心感を得たい心理:利用者がいつも通りに見えると「大丈夫だろう」と判断しやすい
  • 時間的制約:十分な観察や確認よりも、経験則で判断してしまう
  • 関係性の影響:長く関わっている利用者や家族に対しては、好意的な情報に偏りやすい


3. 確証バイアスを防ぐための実践策

  1. 反証の探索
    自分の考えに反する証拠をあえて探す習慣をつける。
  2. 第三者の意見を取り入れる
    職種や立場の異なる人に相談し、多様な視点を持つ。
  3. 記録とデータの完全確認
    好ましい部分だけでなく、全データを公平にチェックする。
  4. 意思決定プロセスの見える化
    どの情報を根拠に判断したかを記録し、後から検証できるようにする。
  5. チェックリストの導入
    医療・介護では主観を排し、項目化された観察シートや評価表で記録を取る。


4. まとめ

確証バイアスは人間の自然な心理であり、完全に排除することは難しいものです。
また、訪問看護・訪問介護の現場では、一度の判断ミスが利用者の安全や生活の質に大きく影響します。
そのため、「いつも通りだから大丈夫」という思い込みを疑う姿勢が重要です。
日々の観察・記録・共有を通し、バイアスの影響を最小限に抑えることが、安全で質の高いケアにつながります。